男女の境目がなくなってきている昨今、それが良いことか悪いことか別として、職業を選ぶ際に男女関係なくやりたいことがやりやすくなった事はとても喜ばしいことかもしれません。
今回ご紹介する女性は、全国でも珍しい「女系電器屋」を営む、花巻市の電気店「はなでん」代表取締役 照井陽子さん(52)です。
何を隠そう、陽子さんは筆者と中学時代の同級生。部活もバレー部で一緒。陽子さんは名セッターとして活躍していました。
取材をするきっかけとなったのは、筆者が通う美容院で陽子さんの娘さんの櫻さんと会ったことでした。大きな声ではきはきと話す姿は、陽子さんとそっくり!
早速、地元で頑張る陽子さんを取材してみました。
1950年(昭和25年)に陽子さんのお父様がラジオの修理からはじめた電器店。1974年に(有)花電として会社を設立し、2020年に創業70周年を迎えました。
高校卒業後、はなでんを継ぐために奈良の松下電器商学院女子部に入塾、卒塾後はすぐに実家には戻らず、盛岡市の電器店で修行をしました。
「他人に使われる経験がないと、将来的に自分が人を雇う番になった時従業員の気持ちが分からないと思い、他店で働きました」
素晴らしい心意気ですが、大変な思いもしたそうです。
「当時はまだ女性の技術者が少なくて、なかなか受け入れてもらえませんでした。でも、いつもその悔しさをバネにして、営業、販売、修理全てにおいて男性に負けない!という気持ちで頑張りました。もちろん、屋根裏にも上がって作業もしましたよ!今でもやっています!」
1年間の修行を終えた陽子さんは実家で働き始めました。それでもやはりまだ、「若い」「女の子」という周りのイメージが強く、悔しい思いを何度も味わったそうです。その度に「経営も技術も男性と同様に何でもできるようになって、お客様のためになりたい!」と何をいわれてもとにかく我慢をして仕事で見返し、人一倍努力してきたそうです。
その努力をお父様も認めたのでしょう、2008年(平成20年)陽子さんは代表取締役社長に就任、以来地域の頼れる電器屋さんとして「はなでん」を盛り立てています。
そして2020年の創業70周年を迎えた年、長女の櫻さんが「はなでん」の後継者として入社しました。
櫻さんは大学卒業後、お母さんの陽子さんと同じように松下電器商学院に入塾し卒塾後、山形で修行を積んだそう。
「最初は電器屋さんはやらないって思っていました。絶対イヤだって。ですが、就職活動を始めた時、なかなかピンとくる仕事もなくて・・・。そんな時、子供の頃におばあちゃんの背中におんぶされて、その背中から見ていた母の姿を思い出しました。その時、お母さんみたいになりたい・・・。と思ったんです。」
櫻さんも、陽子さん同様、「若いから」「女の子だから」といったイメージを持たれたこともあったとのこと。ですが、今ではたくさんのお客様の頼れる存在になっているそうです。
「入社して3年目になりますが、櫻ちゃん教えて!とか、お客さんに頼って頂いたり喜んでもらえる事が多くなりました。この仕事をやってて本当に良かったと思っています」
陽子さんも頼れる存在が増えて安心ではないでしょうか。
「現在は男性スタッフ2名、パートさん1名も一緒に頑張ってくれています。スタッフみんなが業務をこなしてくれるので、今が一番幸せかも!これまで全部自分でやることが多かったので、早く仕事をみんなに任せてゆっくりしたいな~なんて思っています」
どんなに辛くてもその悔しさを跳ね返してきた陽子さんと櫻さん、本当に素晴らしいですね!
そんな陽子さんと櫻さんから頑張る女性の皆さんにメッセージをいただきました。
陽子さん
「女性は、そもそも頑張れる力を持っています。山あり、谷ありですがそれもまた面白いと思えたり、苦しくても這い上がれる底力も持っていると思っています。どんなことがあってもめげずに、男性にできて女性にできない事はない!何でもできる!という気持ちで頑張ってください!」
櫻さん
「私は今、20代後半で、仕事では中堅的なポジションです。色々周りの声など気になると思いますが、自分に素直になって、また他人にも素直になっていれば何でも実になると思います。好きな事をどんどんやってたくさんの事を吸収してみてほしいですね」
中学時代からパワフルな陽子さんでしたが、今もそのパワフルさは健在!しかも娘さんにも受け継がれていました!
日本は不景気の真っただ中ですが、そんな事に左右されないパワフルさ、そして不屈の精神は男性女性問わず、見習いたいですね!!
花巻市 はなでん